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行政改革が進む中、教育改革に求められる服務の根本的な考え方

                                                        平成10年4月

                                                                                               坂井 康宣

 

  組織の成果を全体として向上させるためには,都民サービスの質=学校経営の質を向上させ,あわせて教育活動の成果を具体的事実としてあげることが求められる。そのためには公務職場である学校において,管理者である校長、その補佐職である教頭が教職員一人ひとりの仕事ぶりをよく把握し,能力開発や育成に努める必要のあることは,民間企業と何等かわりなく,組織体の構成員である教職員の能力を有効に活用し,学校の教育目標を効果的・効率的に達成しようとする点では同じということであり,これまでのように教育は聖域であるという漠然とした観念が通用しなくなったのは一般的な理解であると考える。 ことさら「営利の追求」と「教育の質の向上」という究極的な目的の相違点を強調する必要はない。大事なことは,教育の内容を豊かにし,教育の機会を保証することであり,そのためにも職務に専念することが求められる。法に抵触するような古き慣行に固執し,悪戯に都民の批判を受けるような勤務姿勢が,教育公務員としてのありように疑問を呈し,教育界全体への批判と信用の失墜を招いていることを自覚し,法に抵触するような服務慣行は,厳に改めなければならない。

 民間は,厳しい経営環境におかれている。安定しているといわれてきた超一流の金融機関も倒産を余儀なくされ,社員は一瞬にして職を失う厳しい現実がある。

 このような昨今の社会経済状況の中で,学校に対する都民の信頼を確固としたものにしていくためには,教職員は担当職務を遂行するにあたり,常に教育の質の向上を目指し,学校の教育目標を効果的にしかも具体的に達成し,教育活動の質の向上、すなわち子供の変容を図らなければならない。

 

 今,行政改革、地方分権に求められていることは,経費削減に直接結びつく行革だけではなく,業務の能率を上げ,住民サービスの質を向上させ、生活実感として住民に理解される行革であり、学校教育においては,21世紀を目指した教育改革の施策をそれぞれの教育行政と学校が独自に持ち、その実現に向けた具体策を確実に、しかも子供の変容という目に見える成果として保護者、地域の方々と共に創りあげていくことが合わせて求められているところである。

  折しも中央教育審議会は、その中間のまとめにおいて、「学校協議会」の設立を促している。このことは、地域における子供の教育を、学校のみの責任において行うのではなく、地域社会を挙げて、しかも地域の責任において行うことを提言していると理解したい。

  このことは、これまでの教職員の悪しき慣行に流されてきた勤務姿勢を問われるものともなる。学校週5日制の完全実施も平成14年(2002年)に早まった。ただでさえ「先生はいいね。夏休みや冬休みもたくさんあるのに、この上、土曜日が休みになるなんて。」という批判を払拭するためにも、都民=地域住民の理解と信頼を得られる教育公務員としての服務姿勢が問われていることを肝に銘じたい。

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